『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』アンドリュー・パーカー/著   渡辺 政隆/訳   今西 康子/訳 出版/草思社 2006年3月

カンブリア紀のある時期を境に、爆発的にというべきスピードで生物たちが多彩な進化を遂げる。
そのきっかけについての新説を、著者の調査記録とともに紹介する。

バージェス動物群に興味を持ち、あるきっかけで見つけた本。
聞いたことの無い人は、とりあえず画像検索して欲しい。
そこで興味を持った方はぜひ、この本を読んで欲しい。
全10章仕立てで、さまざまな分野からこのカンブリア紀の進化の謎に迫る様子は、さながらミステリーのようだ。

結論にいたるまでは、わりと回りくどい。
証拠固めとして、現在の生き物の生態を調査、化石との比較がややしつこいほどに繰り返され、これが長く感じる。
それぞれのエピソードは興味深いが、あくまでも自説の証拠としての紹介にとどまっているため、もうちょっと詳しく知りたくなる部分もある。
主題が眼なので、光学、物理にも触れなくてはならず、あまり掘り下げると難解なものになってしまうので、これくらいが限界だろうか。
全部詰め込むととんでもない厚さになりそう。
細かい部分のもっと知りたい感が、色んな分野に興味をもつきっかけにはなるかもしれない。

しかし化石ひとつから本当に色んなことがわかるのだな、と感心させられる。

自らの手で化石を掘り出したりもしたいなあと思った。
新発見はできないだろうけどね。